「残クレでマイホーム」って本当に大丈夫? ― 住宅会社として思うところ
こんにちは!ドラッグストアで買い物をしたら、ちょうど2000円ぴったりになって、レジのバイトの男の子と思わず、お~~っと、お互い唸っていて、なんとなくほっこりした、代表の小澤雅志です(´~`ヾ)
アルバイト、がんばっているのは、思わず微笑ましくなりました^^
がんばれ!^^
今日は2025年12月10日。朝5時に日本経済新聞を読んでいて、思わず「え?」となった記事がありました。
タイトルは、
「残クレでマイホーム、国が銀行向け保険 新型住宅ローン普及促す」
というものです。

記事によると、国土交通省は「残価設定」を使った新しいタイプの住宅ローンの普及を後押ししようとしているとのこと。
車やスマートフォンではすっかりおなじみになっている「残価設定型ローン」を、いよいよマイホームにも広げていく流れのようです。
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■ 残価設定型住宅ローンとは?ざっくり言うと...
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記事を読んでの理解を簡単にまとめると、こういう仕組みです。
・死亡時などに売却する前提で組むローン
・あらかじめ「残価(将来の売却価格)」を設定する
・その残価分を後回しにすることで、毎月の返済額を抑えることができる
つまり、
「家の価格 - 残価」部分だけを、まず返していきましょう
という考え方ですね。
なぜこんな仕組みが出てくるかというと、
今は住宅価格があまりにも高騰しすぎていて、
これまでならマイホームを普通に買えていた世帯年収のご家庭でも、
自分の家を持つことがかなり難しくなってきているからだと思います。
そこで国は、住宅金融支援機構を通じて金融機関向けの「保険」を提供し、
残価を設定したローンを後押しすることで、
毎月の支払額を抑えられるようにしていこう――という流れのようです。
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■ 個人的には「基本おすすめしません」
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ここからは、あくまでも私個人の考えです。
結論から言うと、
私はこの「残価設定型の住宅ローン」は基本的におすすめしません。
もちろん、車の残クレについても、個人的には賛同しにくいところがありますが、
こと「家」となると話はもっと重くなります。
家は、単なるモノではなく、
長く住み続けることが前提の「生活基盤」そのものだからです。
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■ 残価設定型が"ハマる人"は相当限られる
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では、どういう人ならこの仕組みをうまく使える可能性があるか。
私が思うのは、
・必ず一定期間ごとに「売却」や「住み替え」をする計画が明確な人
・いわば、住みながら半分は投資目的でマイホームを考えている人
・将来、高値で売却する、あるいは少なくとも価値があまり下がらないような土地で建てるつもりがはっきりしている人
...といった、かなり条件がはっきりしている方です。
ただ、正直申し上げて、
こういった計画をしっかり描いて実行できる方はそこまで多くないのではないかと感じています。
そして何より、
値下がりしにくい立地や物件、土地を選ぶ
というのは、言葉にすると簡単ですが、
実際には相当むずかしいことです。
ですから、メリットが出せるとしたら、
今のところは「そういう一部の人」に限定されてしまうのではないか、
というのが私の正直な感覚です。
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■ むしろ怖いのは「トータルで損をする可能性」
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残価設定型の一番怖いところは、
毎月の返済が楽になったように見えて、
実はトータルの支払額が増えてしまう可能性が高い
という点です。
どういうことかというと、
・残価として後回しにしている部分にも金利がかかる場合があり、
・結果的に、普通の住宅ローンよりも総返済額が増えてしまう
ということが起こり得ます。
車の残価設定ローンでもよくある話ですが、
思ったほどお金が戻ってこなかった、
結局は損をしてしまった――
というケースがありますよね。
住宅の場合はそれに加えて、その「戻ってこなかったお金」の裏側で、
残価として先送りした金額に対しても、じわじわと利息を払い続けていた、
という形になりかねません。
つまり、
「お金はあまり戻ってこないのに、残価分の利息だけはしっかり払っていた」
という、なんともやりきれない結果になってしまう可能性もある、ということです。
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■ 車で起きていることは、家でも起こりうる
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車の残価設定ローンでよくあるパターンとして、
・全く傷がなくてきれいな状態なら、まだいいのですが
・事故を起こした車
・軽い接触でも修復歴のついてしまった車
・タバコなどで内装を痛めた車
こういった車は、
残価として設定されていた金額よりも買取額がかなり下がってしまうことがあります。
そうなると、
「思ったほどお金が戻ってこなかった」
「結局損してしまった」
という感覚になりやすいのです。
これと同じことが、
もし「家」にも起きると考えると...かなり怖い話だと思いませんか?
・地域全体の地価が下がる
・周辺環境の変化で人気が落ちる
・何らかの事情で建物の評価が想定より下がる
といったことは、決して珍しい話ではありません。
そのときに、
「残価を背負ったままの住宅ローン」
が家計にのしかかってくる。
そのリスクは、しっかり頭に入れておく必要があると思います。
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■ 過去の「ゆとり返済」やサブプライム問題を思い出す
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少し昔の話になりますが、
・アメリカでのサブプライムローン問題
・日本で住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構の前身)が出した「ゆとり返済」
など、ローンの設計ミスや、売り方・伝え方の問題によって、
たくさんの不幸な家庭を生んでしまった時代がありました。
「最初は楽そうに見える」
「新しいから良さそうに見える」
ローン商品ほど、
本当は慎重に見なければいけないのだと思います。
新しくて、いかにも今風で、
国が後押ししているから安心、と思って飛び込むと、
大変なことになる可能性がある。
その危険性をどうしても感じてしまいます。
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■ 高市政権でも、これはちょっとクエスチョンレベル
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今の政権、そして新しい内閣での国土交通省がこういった仕組みを進めようとしていることについて、
個人的には、正直かなりクエスチョンです。
私は基本的には高市政権は推しな方ですが、
この住宅版残クレの流れについては、
かなり慎重に見た方がいいのではないかと感じています。
もちろん、これは現段階での話であって、
これから制度の中身が変わっていく可能性もあります。
ただ少なくとも現時点では、
「新しいから」「周りがやり始めたから」で選ぶのではなく、
本当に自分たちの人生設計に合っているのか?
長く住む家としてふさわしいのか?
を、じっくり考えていただきたいと思います。
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■ おわりに
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住宅は、多くのご家族にとって
一生で一番大きな買い物であり、生活の基盤そのものです。
だからこそ、
見かけの月々返済額だけで判断せず、
将来の暮らし方や住み替えの有無も含めて、
じっくりと検討していただきたいと心から思います。
今日はそんなことを、
朝の日経新聞を読みながら考えていました。
それでは皆様、
今日もご安全に。
